医師の育成プロセス:医学部の授業内容や研修医制度の仕組みを解説
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医学部のカリキュラムの特色

一般的な大学は4年で卒業となりますが、知識だけでなく、実験や実習を通じてさまざまな技術を習得する必要のある医学部はどの大学も6年間の勉強が必要となります。さらに卒業するだけでは医師の免許は取得できず、医師の国家試験に合格する必要があります。大学によっては受験者の3割近くが不合格となる年もあります。

共用試験が試練

大学医学部の1年目は教養科目がカリキュラムの中心となりますので、ほかの一般学部との違いはそれほどありません。2年生になると講座で解剖学、組織学、生理学などの医学の基礎を学ぶだけでなく、人体(献体された遺体)にメスを入れる解剖実習などの実習科目が増えます。採血、縫合、カテーテルなどの技術も人体模型を使うことで本番ながらのシミュレーションを行なうことができます。いよいよ医師を目指すという実感が沸いてくるのはこの2年生からでしょう。

4年生になると実際の治療に関する高度な知識を勉強します。4年生の最後の共用試験の成績次第では、5年生から始まる病院での臨床実習に進ませてもらえません。この共用試験は医学知識を「CBT」というコンピュータを使った試験で判定し、実技は模擬患者の方を実習生が診察する「OSCE」という試験で判定を行います。

病院の臨床実習では、内科・外科などの診療科をローテーションで経験し、医師による患者さんの治療を学びます。入院病棟では担当医とともに患者さんを受け持ったり、外科での実習では手術に立ち会ったりもします。6年生の最後には、医師国家試験が待ち構えており、これにパスすれば晴れて医師の仲間入りです。